ハードウェアとソフトウェアの両方をうまく組み合わせて電子機器を動かす、最適化設計問題に適応するためのアルゴリズム、つまり問題解決に導く理論の研究を行っています。当研究室が扱うディジタル信号処理に関する研究テーマは大きく分けて2つ。ひとつは複雑な回路を専門知識なしに効率よく設計するための“知的最適化アルゴリズム”。もうひとつは金融市場に関するテーマです。全く異なる研究対象ですが、最適化という方法論は同じです。時間の経過とともに変化する株や為替のデータをわかりやすく処理するのも、ディジタル信号処理の考え方です。
FPGAボード
秋山 翔さん
私は、コンピュータによる問題解決を目的とし、三目並べのような単純なゲームの思考ルーチンを自動的に学習させる研究をしています。幅広い研究ができることが、この研究室の魅力です。
[主な担当科目]
豊嶋:プログラミング演習,ディジタルシステム基礎,ディジタル信号処理,電気電子情報実験Ⅳ
平岡:電気磁気学演習,基礎電気数学Ⅰ,電気電子情報実験Ⅲ・Ⅳ
・ディジタル信号処理、回路とシステム、知的最適化アルゴリズム
ディジタル信号処理の基礎および応用について、ハ-ドウェア及びソフトウェアの両面からの研究
進化論的アルゴリズムによるディジタル回路の最適設計、組合せ最適化アルゴリズムのハードウェア化に関する研究、ディジタル信号処理の金融市場への応用、高周波回路の2次元平面回路理論・3次元電磁界理論に基づく解析・合成、高周波回路用電磁界シミュレータの開発・整備
ハードウェアとソフトウェアの最適な形を探し出す
当研究室では、ディジタル信号処理に関連するハードウェアとソフトウェアの協調動作のための最適化問題に関する研究と、金融市場の時系列データの動きを解析して予測可能性を探求する研究を行っています。これらの研究の対象は全く異なりますが、膨大なデータの中からより良い解を発掘するという意味では共通の発想です。
前者のテーマでは、ディジタル回路を最適設計するためのアルゴリズムとして、遺伝的アルゴリズムやタブーサーチなどの知的最適化アルゴリズムを用いた研究を行っています。これにより、ハードウェアとソフトウェアの両方をうまく組み合わせて動作させる、いわゆる協調動作のためのディジタル回路を専門知識なしに効率良く作成することが可能になります。
一方後者のテーマでは、株や為替の時系列データを一種のディジタル信号とみなし、金融市場をコンピュータ上でモデル化する研究を行っています。これにより複雑系と呼ばれる金融市場の動きの解析をして予測可能性を探索したり、金融時系列データを人工的に作り出したりすることができます。
発表論文
1) A fast circuit synthesis module for design of multiple constant multiplication circuits using FPGAs, IEICE Electron. Express, 6, 7, pp.430-436(2009).
2)遺伝的アルゴリズムを用いた係数の合成順序最適化による複数の定数乗算回路の合成手法,システム制御情報学会論文誌,19,3,pp.96-101(2006).
3)確率的タブーサーチによる係数乗算ブロックで構成されたFIRディジタルフィルタの設計,電子情報通信学会論文誌(A),J88-A,1,pp.99-103(2005).