Department of Electrical, Electronics and  Information Engineering

ものづくり・電子工作テクノサークル 自分のペースとスタイルで様々なテーマの実験を楽しみながら、チームワークや応用力を身につける

INTERVIEW #2
前回、この場でご紹介した電気電子工学科の「ものづくり・電子工作テクノサークル」。実験用のシングルボードコンピュータ「ラズベリーパイ」(通称:ラズパイ)を用いて“ラジコン戦車”づくりなどに取り組み、2019年11月8日(金)、横浜キャンパスで開催された「テクノフェスタ」にて、1年間の活動成果の報告を行いました。そこで、発表への手応えや、改めて同サークルの活動の意義などについて、大学院工学研究科工学専攻修士課程2年の袴田拓実さんと、山下洋佳さんにお話をうかがいました。 また、同サークルを創設した工学部電気電子情報工学科の土屋健伸教授にもコメントを寄せていただきました。

● 大学院工学研究科 
工学専攻修士課程2年
袴田拓実さん・山下洋佳さん インタビュー

――前回は8月のオープンキャンパスの際にお話を伺いました。その時から、本日の「テクノフェスタ」までの間にどういった変化がありましたか?
山下

前回はまだ完成できていなかったラジコン戦車を完成させました。しかしながら、まだ動かすことはできないんです。 戦車に搭載したラズパイにブルートゥースという無線で操縦指示を送信することで、前進や後退、回転ができるのですが、そのコントローラーとなるスマートフォンアプリがアンドロイドにのみ対応していて、僕たちの持っているiPhoneではできないからです。 アンドロイドのスマートフォンを持っているサークルメンバーもいるのですが、1日中借りるわけにはいきませんので。

――今回の「テクノフェスタ」では、どういった発表を行ったのですか?
山下

活動内容のポスター展示と戦車などの実物展示のみを行い、展示スペースに来られた人に説明をさせてもらいました。「テクノフェスタ」には、午前中は学内の先生方が比較的多く来られて、学生のものづくりへの取り組みを興味深そうに見ておられました。 午後からは、入学を検討している高校生や本学の学生も来場すると思います。

――このインタビュー時点ではまだ半日を残していますが、「テクノフェスタ」で「ものづくり・電子工作テクノサークル」の活動成果にどんな手応えや感想を持ちましたか?
袴田

工作を趣味でやっているだけでは、自己満足で終わると思います。その点、このサークルでは「テクノフェスタ」での発表を目標にして活動できますし、実際に「テクノフェスタ」で発表すると達成感のようなものを感じます。 活動してきたことをカタチにして人に説明し、反応が得られるので、手応えがあるんです。 「サークル」と「テクノフェスタ」のセットによって、学べる要素が大きいのではないでしょうか。

山下

隣で発表している、ロボットをつくるサークルの人と話したのですが、「自分たちはハードには強いけれども、ソフトには弱い」と言っていました。その点、僕たちのサークルではIoT的にハードにもソフトにもタッチします。 ラズパイ戦車では、戦車をコントロールする制御ソフトをLinux(リナックス)というOSの上にプログラミングするわけですが、制御ソフトはハードのことも理解する必要があるので、いい勉強ができるサークルだと再認識しました。

――本日の発表後の残りの時間では、どういったことに力を入れますか?
山下

展示を見に来る学生に、サークルへの入部を勧誘したいです。 このサークルはものづくりの楽しさや面白さが大いに実感できるので、このラジコン戦車や次のテーマの「AIスピーカー」を前面に出してアピールしたいと思います。

――お二人とも来年春にご卒業ですが、「ものづくり・電子工作テクノサークル」での活動は、就職後にどんな役に立つと感じますか?
袴田

僕は通信関連企業のハード部門に行きます。ハードを設計する上でソフトへの対応は不可欠のものなので、サークルにおいてラズパイを通じてソフトを学んだ経験は直接的に役に立つと思います。 また、ハードを思うように動かせる制御ソフトの魅力も感じることができたので、実際にそんな仕事ができることが楽しみでもあります。

山下

僕は自動車関連の企業にエンジニアとして入ります。エンジニアの先輩には、ラズパイを使ったことがある人がたくさんいると思うので、接点にできるかなと。 そのラズパイは、サークルの土屋先生からサーバーとして使うことができると教わりました。すると、いろいろなことに応用できるはずなので、できることを調べてみたいとも思っています。
もう一つ、サークル活動で学べたのは、チームワークです。キットを組み立てるだけでも、チームで1つのものをつくる作業の大切さを学べました。人によって細かな作業が得意だったり、ソフトのプログラミングが得意だったりと様々です。 そういったそれぞれの長所を認識できることで補い合い、全体をスムーズに運ばせることができます。お互い、自分の強みを生かせることで作業が楽しくなるし、周りの役にも立てて嬉しいですよね。

――これから卒業まで、「ものづくり・電子工作テクノサークル」ではどういった活動をしたいですか?
山下

卒業研究などの学業が優先ですが、ラジコン戦車の未完成部分である、スマートフォンのコントローラーを完成させたいです。 現状、アンドロイドにしか対応していない制御ソフトを、iOSでも使えるようにプログラミングにチャレンジしたい。 そのためには、いろいろ自力で調べなければなりませんが。 でも、自力で調べるということも、会社に入ってから求められることだと思うので、いい練習になると思っています。

袴田

ラジコン戦車のほかに、AIスピーカーが仕掛り中です。 これはサークルの次のテーマになると思いますが、いわばアマゾンのAIスピーカー「アレクサ」のミニチュア版です。 今最もホットなデバイスなので、関心は高いのではないかと思います。 このことをアピールして、メンバーの勧誘に繋げたいですね。

――改めて「ものづくり・電子工作テクノサークル」で活動して
よかったことについてお話しください。
袴田

実際の現場では知識があるだけではダメで、経験がものをいうと思います。 このサークルでは、大学での理論や学術的な机上の勉強だけでなく、実際にものづくりを経験できるメリットを感じました。 テキストで勉強してもわからなかったことが、実際につくってみるとわかるということがありました。 何事も実践してみることが大事だということが学べましたね。また、チーム作業の重要性も感じました。 一緒につくっていたメンバーが途中で抜けたことがあり、それまでの楽さが際立ったのです。 自分1人より2人のほうが効率的に早くつくれるので、早く完成させるにはチームワークに限ると感じました。

山下

このサークルに入るまで知らなかったラズパイの存在を知ることができたのが、一番大きかったです。 ラズパイにできることで、まだまだ知らないところがたくさんあるので、これからも勉強し続けたいと思っています。

――最後に、これを見ている高校生や神大生にメッセージをお願いします。
山下

まずは「ものづくり・電子工作テクノサークル」に入って、初心者からものづくりの楽しさを実感してほしいと思います!

袴田

自分たちの代が実現できなかった「AIスピーカー」を完成させてほしいですし、ラズパイに限らずいろんなものづくりに取り組むきっかけとして、サークルを生かしてほしいと思います!

工学部電気電子情報工学科 土屋健伸教授からメッセージ
ものづくりが気軽に楽しめるサークルづくり

私が2016年に「ものづくり・電子工作テクノサークル」を発足させたのは、学生にものづくりを楽しんでもらいたかったからです。 当時あったほかのサークルは、どれも「何かを目指す」という堅い感じの活動で、気軽に楽しめるようなサークルが見当たりませんでした。 一方で、「これまでものづくりを経験したことはなく、電気電子情報工学科に入学したものの何をつくりたいのかわからない」「ものづくりをしてみたいが場所がない」といった学生がいました。 そこで、ものづくりのハードルを下げた「ものづくり・電子工作テクノサークル」をつくったのです。

活動内容は、集まった学生にアンケートを取って決めました。ラズパイによるラジコン戦車を選んだのは、やりたいという学生が一番多かったからです。 また、活動時間を自由にしたので、学生のペースに個人差ができます。 そこで、テキストやキットが揃っている材料を用意して、自分のペースでできることにも配慮しました。

ラズパイは企業のエンジニアに広まっていることもあるので、就職に役立つというメリットもあります。 実際に「ラズパイをセットアップした経験のある学生は魅力」という企業の人の話を聞いたこともあります。 また、サークル活動では仲間とチームを組んで1つのキットをつくってもらうので、チームワークを経験できるというメリットもあるでしょう。 自分1人ではわからないことでも、2人でやればわかることもあります。人には得手不得手があり、補い合う大切さも学べます。 こうしたことは、実社会でも求められることであり、企業にとっては歓迎したい要件ではないでしょうか。

ものづくりの面白さは、動かなかったモノを動かせるようにしたり、未知だったことを知ることができるところにあると思います。 そんな楽しさを、「ものづくり・電子工作テクノサークル」で味わってほしいですね。

  • TECHNO FESTA 2019
  • ものづくり・電子工作テクノサークル INTERVIEW #1
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