Vol.3 加賀 義隆 氏「エンジニアが日本を再生させる」
加賀 義隆 氏
特別講義気付きの連続で就職率20%アップ!?

『エンジニアの新たな姿 社会を変革させるエンジニア』と題された特別講義では、エンジニアとしての経験を活かし、グローバルに活躍できる人材の育成や市場開拓・社会システムの開発を行っている加賀義隆氏による、エンジニアのあり方や、エンジニアとして活躍するための学生生活の送り方について聞くことができた。講演の前に松澤先生が「この講義を聞けば就職率が20%上がる!」と紹介したことで、学生達もより一層集中して講義を受けていたようだ。
講義は加賀氏の学生時代から社会人時代の体験を元に、「大学での学びは何のためか?の確認」、「自己ブランドの種に気付くための視点」について語られた。大学生として生活する中で、自分を形成しているのは高校生までの記憶やものの見方・価値観であり、まずはそれを変えることが重要。将来エンジニアとして活躍するのであれば、エンジニアとしての基本能力はもちろん、考え方やものの捉え方もエンジニアには、なくてはならない。また、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、モチベーション力、行動力の必要性も訴え、さらに、エンジニアとして作文能力の必要性も力説。意外な例やユーモアに富んだ講義に、終始、壇上の加賀氏に注目が集まっていた。

加賀 義隆 氏  インタビュー
目指すは日本人の再生

 現在私は、ネオキャリアプロモートという会社で、人材育成やそれに伴うビジネス市場の開拓や社会システムの開発を行っています。この会社と代表である私の根底にある考えは“日本人の再生とグローバル化”です。かつて日本は技術力で世界をリードしていましたが、今はIT技術や宇宙開発など、ビジネス視点において決して世界トップクラスと胸を張って言える状態ではないと思っています。また、日本人にはオリジナリティがない、と日本人が思っていることがありますが、私は物事をよりよく工夫する能力は今も世界トップクラスであると思っています。近年、『モノづくり』と銘打って工業業界を盛り上げる動きもありますが、新たにモノを作り出すのではなく、よりよくするという工夫能力の強みを活かして作り出すことが、再生のカギだと思っています。そんな日本人が再び世界で認められ、国際社会でもリーダーシップを発揮できる人材を送り出すために、様々な活動を行っているところです。最近では、元々航空宇宙業界を目指していたこともあり、民間による宇宙旅行や宇宙エレベーターに興味があり、こういった業界での日本人の活躍にも期待しています。携帯電話のような通信機器といった、SFの世界の機械や技術が実現することは珍しくない時代になりましたが、先進技術の中に日本の改善技術や技術者が関わってくれたら嬉しいと思いますし、日本人としての誇りを持つ喜びと、世界がより良くなる夢のSFの世界をぜひ体験してみたいですね。

SF少年から工学部生、そしてエンジニアへ

 私がエンジニアを目指すきっかけになったのは、小さい頃に見たSF映画やテレビ番組だと思います。特に登場する科学者に憧れていて、ヒーローを助ける秘密兵器やアイテムを作りたいと思っていました。中でもサンダーバードやスタートレックが大好きでしたね。それから高校生になりエンジニアになりたかった私は工学部への進学を考えるのですが、単科大学ではなく総合的な教育機関(総合大学)である神奈川大学を選び、工学部の電気工学科に入りました。理由としては総合大学ならではのカリキュラムで視野を広げたかったことですね。ところが入学して授業を真面目に受けてレポートを欠かさず提出するのは大変でした。その大変な中、最も夢中になったのはアルバイトでした。アルバイトと言っても、学内の情報処理センターでの仕事で、情報処理の概念を理解できたことや、当時の最新のパソコンや大型計算機にも触れることができたことが嬉しかったですね。また、センターの運営やプリンタ機器の保守、授業アシスタントなど、先輩や職員といった、年上の人と社会人、後輩や女子学生との交流が持てたことがいい経験になりました(笑)。そして、この経験が元でリアルなネットワークやコミュニケーションの輪が連鎖反応を起こすように拡がって、将来へのモチベーションにもつながりました。私はどうしても航空宇宙業界で働きたかったので、就職活動でも業界を絞り、それでダメなら大学院への進学を考えていました。しかし幸いにも全日本空輸株式会社に内定し、エンジニアとして羽ばたくことができました。

大学生という期間で自分の価値を高めよう

 在学生や受験生の皆さんへのアドバイスが2つあります。ひとつは学生時代にヨーロッパに行って現地で友達を作ってくること。よく「若い内に海外へ行け」という話がありますが、海外に行くだけではなく海外で友達を作る、という目標があれば、海外に行くモチベーションも高まると思います。ヨーロッパは国と国が近く、西洋文化の源流であり、長期的なスパンで見ると、将来的にビジネスパートナーになりうる国々に友達という人脈を持つことは、それだけで自分の価値を高めることができます。今ではfacebook等のSNSで日本に帰ってきても交流は続けられますしね。「ヨーロッパ各国に友達がいます!」という学生が面接に来たら、面接官として間違いなく興味を持ちます。グローバルな展開をしている企業ほど、あなたのパフォーマンスの高さを評価してくれるでしょう。 そしてもうひとつが、大学の施設をきちんと使うこと。大学での学費はおよそ500万円かかります。社会人でないとこの金額の大きさにピンとこないかもしれませんが、これだけ稼ぐには何年もかかる、大変な大金です。そのお金を払って大学に来るのであれば、勉強はもちろん、友達や人脈を作るだけでなく、学校の施設を使わない手はありません。パソコンや実験器具はもちろん、教室を借りて意見交換したり、近隣の大学との交流会を開いたり、プールやグラウンド、英会話教室など、元を取るつもりで活用する感覚があれば、キャンパスライフもより充実したものになるでしょう。工学部を卒業する時はみんなエンジニアです。ならば、より優秀なエンジニアとして自分を磨き、売り込む準備を大学在学中にしておくことが必要なのです。